東京都は27日、新型コロナウイルスのワクチンが行き渡っていない若年層が予約なしで受けられる接種会場をJR渋谷駅近くの渋谷区立勤労福祉会館に開設した。1日当たり200人程度の接種枠。正午ごろの運用開始を前に、午前4時の時点で既に15人ほどが待機した。午前7時半ごろには約300人が長蛇の列を作って混乱し、都は整理券を配布して受け付けを終了した。

都は本来の受け付け開始を午前11時50分と事前に案内し、早朝からの来場を控えるよう求めていたが、この日は約300人全員の接種を可能とし、その後に訪れた人には帰ってもらった。担当者は「若者は接種を回避する傾向もあり、この盛況ぶりを予想できていなかった。28日以降の実施方法で公平性を改善したい」と話し、抽選式にするなど方法を検討する意向を示した。

会場は10月初旬ごろまで運営する方針。ワクチンは米ファイザー製を使用し、都内の在住者と通勤、通学で訪れる16歳から39歳が対象。接種券と身分証があれば受けられる。予約不要のため、都には多くの問い合わせが寄せられていたという。

午前10時すぎに訪れて受け付け終了を知った杉並区の会社員(37)は「早くから並んでいる人がいるなんて思わなかった。せっかく来たのに意味がない」と肩を落とした。

一方、早朝に高校生の長女(17)の付き添いで訪れた品川区の50代女性は「ぎりぎりで間に合ってほっとした。今後仕組みが変わるかもしれないと思い、初日がチャンスだと思った」と話した。

小池百合子知事は報道陣の取材に「接種の場所は他にもあり、全ての希望される方にできるだけワクチンを早く打っていただけるよう工夫をさらに重ねたい」と語った。

都内では新規感染者は30代以下の若い世代が多くを占め、小池氏が今月18日の都議会で若年層に特化した接種会場の開設方針を表明していた。(共同)