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大阪IRの評価は上から3番目の「B」 国が指摘した「物足りなさ」 - 毎日新聞

大阪・関西万博予定地でIR用地の夢洲(南から北方向)=2020年12月2日、本社ヘリから加古信志撮影 拡大
大阪・関西万博予定地でIR用地の夢洲(南から北方向)=2020年12月2日、本社ヘリから加古信志撮影

 カジノを含む統合型リゾート(IR)について、大阪府・市の誘致計画が14日に国の認定を受けた。ただし、審査報告書では「物足りない」「工夫が必要」といった厳しい指摘も相次いだ。2029年の開業に向けて、乗り越えるべき課題が浮き彫りになっている。

 府は22年4月、IRの概要をまとめた区域整備計画を国に申請した。これについて経済や観光、ギャンブル依存症の専門家ら7人でつくる審査委員会がチェック。国際競争力や経済効果、依存症対策などさまざまな面を審査した。

大阪IRの審査結果 拡大
大阪IRの審査結果

 国土交通省が公表した報告書によると、府市の計画は1000点満点で657・9点。6段階評価で上から3番目の「B(優れている)」だった。最高(1000点)の「S(極めて優れている)」や2番目(800点以上)の「A(非常に優れている)」には及ばないものの、認定条件の600点以上はクリアした。

 大阪IRは、大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲(ゆめしま)が予定地。カジノや三つのホテル(客室数計2500室)などを備えた一大リゾートになる。「水都」として発展した大阪の歴史を生かすコンセプトだが、審査委員からは「水辺感を特長としたIRは海外でも複数存在し、評価できるとまでは言えない」「日本初のIRであれば日本らしさも盛り込むことが期待されるが、十分でない」とマイナス意見も。宿泊施設については客室やスイートルームの広さが「諸外国のIRに見劣りしない」としつつ、「ラグジュアリー(豪華)さやVIP対応など外国人を呼び込める工夫が必要」との注文も付いた。

 府市は年間の来場者を約2000万人、経済効果を年間約1兆1400億円と見込む。これについても審査委員は「(来場者数は)意欲的な数字で、精緻化が求められる」「(経済効果は)下振れする懸念がある」と指摘し、予測精度向上や目標達成への取り組みが重要としている。さらに建設予定地では地盤沈下が予想されるとして「建設コストや工期への影響が懸念される」と課題を示した。

 各評価項目で得点率が54%と最も低かったのが、地域との良好な関係構築。9日投開票の大阪府知事・大阪市長のダブル選で、IR誘致を推進する吉村洋文知事や横山英幸市長が勝利し、吉村知事は「一定の民意を得た」と強調した。しかし、審査報告書は住民投票を求める署名活動や反対運動が起きたことを踏まえ、「住民との関係構築で課題が残る」と指摘。住民理解を求める府市の計画が乏しいとして「地域との双方向の対話の場を設け、懸念の払拭(ふっしょく)を図る必要がある」と提言した。

 国交省は認定にあたり、こうした住民との関係やコンセプトなどについて審査委員の意見を反映するよう求める七つの条件をつけている。横山市長は記者団に「厳しい意見だが、一人でも多くの人に伝えていくことで住民理解も進む」との見方を示した。

 運営事業者「大阪IR株式会社」の中核出資者であるMGMリゾーツ・インターナショナル日本法人とオリックスは「大阪・関西地域、国の観光や経済の成長と発展に貢献したい」とのコメントを出した。【野田樹】

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