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【独自】自宅療養の妻・母死亡、朝は異常なく数時間で急変…夫「突然で言葉にならない」 - 読売新聞

 新型コロナウイルスの患者の自宅療養が増える中、容体が急変し、死亡するケースが次々と判明している。大阪府枚方市では昨年12月、陽性と判定され自宅療養していた主婦の女性(62)と母親(90)が数時間のうちに相次いで死亡していたことが、関係者への取材でわかった。いずれも軽症と診断され、当日朝も大きな変化はなかったという。

 関係者や親族によると、女性は市内の戸建て住宅で母親と夫(66)、息子(38)の4人暮らし。女性には糖尿病の持病があったが、自宅で足腰が弱った母親の介護をしていた。仲が良い母娘で、女性は母親の車いすを押してよく散歩に出かけていた。

 2人に38度前後の高熱が出たのは昨年11月下旬。府内では、同月22日に全国最多の490人の感染が確認され、同24日には重症病床使用率が50%に達していたが、まだ感染拡大が深刻化する前だった。2人は市内の総合病院を受診。PCR検査で、平熱だった夫や息子も含め家族全員が陽性と確認された。

 夫らは枚方市保健所と相談し、母親の介護などを理由に、自宅療養することを決めた。「トイレに立つのがしんどい」。次第に女性はそう訴えるようになり、母親の介護を夫がするようになった。

 陽性判明から約1週間たった昨年12月2日午後3時半頃。夫が布団で寝ていた女性の様子を見に行くと、顔色が真っ青になっているのに気付いた。呼びかけても反応はなく、隣で寝ていた母親も呼吸が止まっていた。すぐに保健所に連絡し、救急隊が駆けつけたが、2人はその場で死亡が確認された。

 夫はその日の朝、2人の看病をしたが、いつもと変わらぬ様子だったという。「あまりに突然のことで、言葉にもならない。そこまで重い症状とは感じなかった。コロナは怖い」。夫は言葉少なに語った。

 感染者の自宅療養について、大阪府感染症対策課は「高齢者で症状があれば優先的に入院の判断をしているが、本人や家族の希望や事情に応じて柔軟に運用している」と説明している。

 国立国際医療研究センター(東京都)の忽那くつな賢志・国際感染症対策室医長によると、無症状や軽症であっても、肺の炎症が広がるなどして急激に容体が悪化することがあるという。発症から1週間前後に急変するケースが多数報告されており、「高齢者や基礎疾患がある人は全員入院した方が良いが、病床は逼迫ひっぱくしている。感染者数を減らすしかない」と話す。

 新型コロナ感染で症状悪化にいち早く気付くには、洗濯ばさみのように指先に挟んで使う「パルスオキシメーター」で、血液中の酸素濃度を計測するのが有効とされる。

 パルスオキシメーターは、心臓から全身に血液を送り出す動脈血の酸素濃度を測ることで、体内に酸素をどの程度取り込めているかがわかる。一般的には96%以上なら正常とされる。新型コロナでは自覚症状がなくても、肺の炎症が広がり、酸素濃度が低下していることがあるといい、専門家は「定期的に計測して前兆に早く気づくことが大切だ」と話す。

 自治体がパルスオキシメーターを自宅療養者に貸し出す動きも広がっている。京都府は29日から全員への配布を始め、大阪府は貸し出す台数を増やす。

 一方、パルスオキシメーターを製造する機器メーカー「コニカミノルタ」(東京都)によると、全国で感染拡大が深刻化した昨年末以降、自治体からの注文が殺到。例年の3倍となる増産態勢をとっているが、「製造してすぐに出荷する状況が続いており、在庫はない」(担当者)という。同社はホームページで「呼吸器疾患がある人を除き一般家庭での購入は控えてほしい」と呼びかけている。

 厚生労働省は、新型コロナに感染した患者が自宅療養中に死亡した事例について全国調査に乗り出した。各都道府県を通じて集計し、実態把握を急ぐ。

 厚労省によると、全国の自宅療養者は20日時点で3万5394人。年末年始にかけて急増し、昨年12月23日時点に比べ約4倍に増えている。保健所が入院先の調整などを行っている間に容体が急変する事例も相次ぎ、加藤官房長官は26日の記者会見で「件数や経過などの適切な実態把握に努める」と述べていた。

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